秋鱗

 

原田淳子

 
 

 

空の鱗、
風に反射して、ひらひら

 
秋が剥けて
雲が千切れる

金木犀の小片
銀杏の小波

歩くたびに秋が降ってくる

燃え尽きた灰のわたしに
色の服を
薫る食を
与えるように

秋が、空から剥けてゆく

茜にむかって
剥けてゆく