電話する

 

さとう三千魚

 
 

熊が
出てる

という

昨日の夜だったかな
秋田の姉に電話してみた

そうなのよ
その辺にいるのよ

姉は言った

最近は山にも登っていないという
山菜採りにも行かないという

山にもでてるけど
西馬音内にもいるのよ

散歩も
近所にしか行けないのよ

熊も
きっと

気候変動で困ってるのよ
人のせいなのよ

姉は
熊に同情していた

熊も困っているのだ
人も困っている

人は人を殺すけど
熊は熊を殺すのか

どう
だろう

今朝も

窓辺に
雀がきた

ヒヨドリもきた

山鳩もつがいで来ることがある

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

飛沫をあげていた

 

さとう三千魚

 
 

一昨日かな

夜中に
荒井くんから

電話があった

荒井くんは
無一物野郎のスタンディングを褒めてくれた

カッコイイよ

そう
言ってくれた

なぜわたしが女を女と書くのか
とも

言った

わたしには
女は女だから女だけど

女と書くと
なまなましいのだという

女も
男も

なまなましいでは
ないか

妻と書けばよいのか
奥さんと書けばよいのか

志郎康さんのように麻理と書けばよいのか

女は
女だ

この女が命をくれた

今日も
午後に

海を見てきた
波はテトラにあたって飛沫をあげていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

風に吹かれて ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 67     amane さんへ

さとう三千魚

 
 

木の葉の
揺れている

青空に
揺れている

夕方に
みんな

急いでいる

帰る
家が

あるのか

ニゲラの
群青の

花の

揺れてる
群青の空にいる

 
 

***memo.

2024年5月5日(日)、
静岡駅北口地下広場での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第二十四回で作った67個めの詩です。

タイトル ”なし”
好きな花 ”ニゲラ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

雨が降っていた **

 

さとう三千魚

 
 

今朝
目覚めたとき

降っていた
雨の音がしてた

階段を降りていった

台所で
コーヒーを淹れた

歌人が書いた
エッセー本の表紙を見てた

野見山暁治の絵か

とも思えた
本のタイトルは”野良猫を尊敬する日”だったか *

我が家に猫はいない

 

・・・

 

** この詩は、
2024年4月24日水曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第4回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。

* 穂村弘さんの著書のタイトルを引用しました。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

東名高速バスできた

 

さとう三千魚

 
 

西口に着いた
東名高速バスできた

播磨屋で珈琲を飲んでいる

これから
なにか

書くだろう

言葉を行分けにして
どう

なるだろう

新宿は好きな街だったが
終わっていた

オワコンと
山本太郎さんが国会質問で言ってた

オワコンだろう
オワコンの詩を書こう

広瀬さんの猫写真が
ゴールデン街のこどじで展示されていると聞いた

高速バスできた

新宿も
しょんべん横丁も

岐阜屋も
ゴールデン街も

オワコンだろう

岐阜屋の蒸し鶏でビールを飲もう
それからこどじで広瀬さんの猫写真を見よう

新宿の街でノラ猫たちの歩くのを見なかった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

花と会う

 

さとう三千魚

 
 

今朝も
早く

目覚めた

河口まで
歩いていった

川沿いの桃畑の
桃の木にはピンクの花が咲いていた

菜の花も
まだ咲いている

茎の下のほうは
尖ったさやとなっている

ヘラオオバコかな
ほそい茎の先の

白い花穂が風に揺れている

ヒメツルソバとも会った
ピンクの星雲が群れ咲いている

大病院の下の小道では木のベンチに座った
縦に割られた大木の波の模様のベンチだった

このところクルマで黄色の花と擦れ違うことがあった
レンギョウの花だった

レンギョウの黄色の花と会った
レンギョウの黄色の花がこの世を貫いていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

駅前に立つ

 

さとう三千魚

 
 

昨日
午後は

静岡駅の
北口の

地下広場の
市立美術館のポスターの前にいた

立っていた

月の最初の日曜日は
いつも

駅前に佇ち

通る人たちの
花の名を聞き

詩を書き捧げる日だった

駅前にいた
立っていた

一昨日も
東京の水道橋の駅前にいた

立っていた
叫んでいた

 “虐殺、やめれ!”
 “すぐ、やめれ!”

 “殺すな。”

そう叫んでいた
拡声器で叫んだ

高橋朝さんが足元に横たわってくれた

道路に
横たわってくれた

どうだろうか

声は届くだろうか
その声は

ガザの人たちに届くだろうか
蝶は羽ばたくだろうか

駅前を人びとが通り過ぎていった
夕方には吐く息が眼鏡を白くした

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

猫の縁側 **

 

さとう三千魚

 
 

そこにいた

そこに
いて

しばらく
横に

なっていた

白い脚を伸ばしていた

緑色の
爪が

きれい

一瞬
空の蝶を眼が追っていた

空に雲が流れていた

 

・・・

 

** この詩は、
2024年3月27日水曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第3回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

また海を見にいく

 

さとう三千魚

 
 

今日も
見ていた

波は打ち寄せていた

小雨のなかを
しらす漁の船が出ていた

ふたつの船に
網を渡してしらすを掬いあげる

しらすは

生きているとき
透明な

鰯の子だ

帰りに
セリアで

空色の
食器洗いの

スポンジと
ピンクの布巾を買ってきた

部屋ではリュビモフの弾く平均律を聴いている

広瀬さんから
メールが届いた

今夜も飲むかもしれない

昨日も駅ナカで
詩人たちと芋のお湯わりをのんだのだった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

リュビモフを聴く

 

さとう三千魚

 
 

海から帰って
リュビモフを聴いていた

リュビモフの弾くピアノを聴いていた

リュビモフは
義兄に似ている

ほほえみの向こうに

悲しみが
いる

どうだろう
海の波は打ち寄せていた

なんども
なんども

打ち寄せていた

人が生まれてる
人が死んでいる

笑っている

部屋の窓を開けて雀たちに花の種をあげる

 

 

 

#poetry #no poetry,no life