What does he want with the money?
彼はそのお金をどうしようというのですか。 *

 

さとう三千魚

 
 

I was watching the ceremony video on TV

Every year
watching

watch the people of Hiroshima projected
watch those praying

The bell was rung at 8:15

Child and
Children

Father, mother, sister, brother,
grandfather, grandmother,

and
Friends

Friends of friends
Lover

Lovers
Relatives aunt

Everyone was burned by the rays and died

Praying for those people
Praying 140,000 people

Hiroshima people are praying

Maybe even praying for the silver Enola Gay crew members

The bell was rung at 8:15
The bell was rung at 8:15

“I pledge that I will do my utmost to realize a world without nuclear weapons and permanent peace in Hiroshima City, where eternal peace is being prayed.”**

The Prime Minister of this country is greeting
The Prime Minister of this country has promised

What does he want with the money? *

 

 

TVで
式典の映像を見ていた

毎年
見ている

映し出される広島の人々を見る
その祈る人々を見る

8時15分に鐘は鳴らされた

子どもや
子どもたちや

父や母や姉や兄や妹や弟や
おじいさんやおばあさんや

友だちや

友だちの友だちや
恋人や

恋人たちや
遠い親戚のおばさんや

みんな光線に焼かれて死んで行ったのだ

その人たちを祈っている
14万人の人たちを祈っている

広島の人々は祈っている

もしかしたら
銀色のエノラ・ゲイの搭乗員たちのことも祈っている

8時15分に鐘は鳴らされた
8時15分に鐘は鳴らされた

“永遠の平和が祈られ続けている、ここ広島市において、核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことをお誓い申し上げます。” **

この国の総理大臣が挨拶している
この国の総理大臣が約束した

彼はそのお金をどうしようというのですか *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

**首相官邸ホームページより引用しました.

 

 

 

ピカドン🉂

 

工藤冬里

 
 

原爆ドーム横の黒いビルがその直角をこちらに向けて陰翳のティンクトゥ―ラを分けているその直線のみが感情を捉える

いかにも無宗教のモニュメントの空洞から、水、火、ドームの頭、の順に見通すその設計は「マリエンバード」の直線を思わせる

セレモニーからは外れた場所にあるモニュメントは三六〇度から見上げる視線に晒されているその陰翳を分ける直線が無い

白茶けた復興のなかで黒い線は行き詰まっているその八月六日のセミのノイズのなかで彫られていく白い線は光なのでデューラー以来の線から自由になれているかもしれない

再開発の手が入った駅前の一角のお好み焼き屋「のん」で箸を使わないでと勧められるそのサンドイッチ様態のままの食べ方できっぱりと構造を分ける

現実平面に象徴層を定着させる手続き言い換えれば見えないものへの変換のためのフィルターを持つことは重要であるそのフォーマットを見出した人は幸いであるその人は暫しの猶予期間を楽しむ

尾道「ultra」に被爆者の遺品を撮影した作品があるその作者の石内都の言葉:どこかで生きているかもしれません。帰ってくるかもしれないんです。そのときのために、きれいに撮っておきたい。

彼らが本当に帰ってくることを知らないままその象徴界を広げるその道は滅びに至る幅を持つ

 

 

 

#poetry #rock musician

森のはずれ/侵入者

 

芦田みゆき

 
 

その森は
とても深く
幾度、訪れても、森の内部への路を
みつけることができない
あたしはただ、揺れながら
歩きつづける

その日、侵入者は
森の内部から
ゴウゴウと音をたてて過ぎていった
あたしはぐらりと傾ぎ
闇を振りかえる

無数の虫の声が聴こえる

 

 

 

 

 

 

 

 

ピカドン

 

工藤冬里

 
 

記念日前日の疎ら
花のない夏の淫ら
油絵具の上に塗られたアクリルの子供らしさは滑り落ち
直角をこちらに向けた黒い建造物が翳のティンクトゥーラを分ける

ドーム原爆
ドンピカ
と言ってみる
直線のないモニュメントの
あらゆる角度からは計算され切っていない陰翳のゆえに

 

 

 

#poetry #rock musician

His tale came home to me.
彼の話は胸にしみじみこたえた(身にしみた)。 *

 

さとう三千魚

 
 

From my brother
I received an email

“The temperature is controlled in the hospital and it is easy to spend.”

“But people are extravagant and I want to breathe the outside air right now.”
“It’s delicious!”

My brother is hospitalized in Akita

now
Plague

can’t meet

After a long rain, it suddenly became summer
I emailed my brother

My brother liked fishing and mountain climbing

at the end of summer
let’s go to the hot spring together

so
sent an email to my brother

His tale came home to me *

 

 

わたしの
兄から

メールが届いた

“病院の中は温度が管理されていて過ごしやすいです。”

“でも、人って贅沢なもので、今すぐ外の空気を吸ってみたい。”
“おいしいだろうな!”

わたしの兄は秋田の病院に入院している

いまは
疫病で

面会ができない

長雨が終わり
急に夏になったねと兄にメールしたのだった

兄は釣りと山が好きだった

夏の終わりには
みんなで温泉に行こうね

そう
兄にメールを送った

彼の話は胸にしみじみこたえた *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

He made for the door.
彼はドアの方に進んだ。 *

 

さとう三千魚

 
 

at midnight
I soak in the bath

soak in lukewarm water

Moco is
come to peep

door frosted glass
over there

at midnight
listen to Zhu Xiao Mei’s fugue

There is a ghost

She threw everything away and lived

It
must be so

He made for the door *

 

 

深夜に
風呂に浸かる

ぬるい湯に浸かる

モコが
覗きにくる

ドアのすりガラスの
向こうに

いる

深夜に
シュ・シャオメイのフーガを聴く

そこには幽霊がいる

彼女はすべてを捨てて生きた

のに
違いない

彼はドアの方に進んだ *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

MOYASHITA PORK。

 

工藤冬里

 
 

卵とキャラメル
ニワトリ
が出会って、
プリン
フリン
腐乱
が生まれた。
出会い
アイディア
イコン遺恨とイデア(ハーバート・リード)
って、


排除
排卵。
組み合わせ
ホーム列組み合わせ
って、未来
未練
かも。
公園
円光
縁故
の下に、ハイブランド
灰フレンド。
ハイブランド
灰フレンド
の横に、飲み屋横丁
蚤や!コチョコチョ。
ホテル
掘る手間
も珈琲屋
肥やし

レコードショップ
冷凍死体
もギャラリー
下痢コレラ
も、
混ざってくっついたら
どうなるんだろう。
ごちゃっと自由
蛆に、
ここは公園
御縁
豪炎
のASHITA
ATASHI。
その全部があたらしくなった
灰になった、
MIYASHITA PARK
MOYASHITA PORK。
さあ開業
蟯虫
回虫、
開園
快便
下位胃炎
です。
ニンゲン
非ニンゲン
田七ニンジン
ニゲンロンカフェ
も風
武漢変異風邪
も花
真田虫
も鳥
鳥インフル
も、
どうぞいらしてください。

 

 

 

#poetry #rock musician

焼きおにぎり

 

みわ はるか

 
 

ピッと赤く光るボタンを押すとガランガランと派手な音をたてて自分が選んだものが落ちてきた。
透明の蓋のようなものを手が挟まれないようにゆっくりと持ち上げ手を突っ込んでそれを取り出した。
生温かいぬくもりが感じられた。
写真で見るよりも小ぶりだけれどそれは紛れもなく醤油味が絶妙に効いた焼きおにぎりだった。

地元の最寄り駅に久しぶりに来てみたら、学生時代よく見かけた愛想は全くないがいつも大きな声であいさつをしてくれたおばちゃんがいなかった。
小腹がすいたときに食べたくなるようなチョコレートやスナック菓子、朝刊、雑誌、たばこ、ペットボトルのジュースや缶コーヒー。
そういった売り物が所狭しと並んでいた売店がなくなっていた。
小さな、だけどちょっとワクワクするようなその空間はたった1人で切り盛りしていたおばちゃんとともに消えていた。
代わりにやや大きめな自販機がどーんと設置されている。
その中の1つに焼きおにぎりが商品としてあったのだ。
おばちゃんは違う駅に飛ばされてしまったのかなと少し寂しくなった。
ただ、これも田舎のぽつんとした駅には必然な結果なのかもしれない。
時代は無情にも変わっていく。
でもどうしてだろう、たこ焼き、ポテト、お好み焼き・・・・・たくさん種類がある中で迷うことなく焼きおにぎりを選んだ。
ぼんやりと少しずつわたしは焼きおにぎりとの出合いを思い出し始めていた。

小学生低学年のとき仲のいい友達がいた。
よく土日には彼女の家に行ってお昼ご飯を忘れる程ゲームに熱中していた。
母親には宿題をしてくると言って逃げるようにいつも家を出発していた。
おそらく今も母はちゃんと勉強していたんだと思っていると思う。
ある時いつものように彼女の家に行くと、夕方から病院に行く用事があると言われた。
なんでも同居しているおじいさんの体調が悪くなり入院したという。
病院という所にほとんど縁のなかったわたしは同行させてもらうことにした。
夕方の病院というのはとうに外来診療が終わっているせいか薄暗くしんと静まり返っていた。
スタッフの数もうんと少ない。
院内も迷路のようで迷ってしまいそうだ。
その時ひときわこうこうと光を放っている一画があった。
3台程の自販機がみんなきちんと前を向くように並んでいる。
周りが暗いが故にとてもまぶしく感じた。
奥の2台は道端でもよく見るジュースやコーヒーが売られているものだった。
手前のそれは当時わたしにとっては初めて見る自販機だった。
前述の大人になって見たものとほぼ同じでたこ焼き、ポテト、お好み焼き・・・・・、そして焼きおにぎり。
どの写真もみんな美味しそうに見えた。
友達のお母さんはニコニコしながら慣れた手つきで500円玉をそれに投入した。
その時買ってくれたのが焼きおにぎりだったのだ。
友達と2人でわくわくしながら箱を破り醤油がかかってほんのり香ばしい焼きおにぎりにかぶりついた。
お腹がへっていたのもあってペロリとたいらげた。
2人とも口の周りに醤油をつけてもぐもぐさせながら顔を見合わせて微笑んだ。
友達の二カッと笑った時の歯と歯の間には茶色の米粒がいくつもついていた。
長椅子に2人並んで足をプラプラさせながら焼きおにぎりをほおばっていたあの時、わたしたちの間には幸せな時間が流れていた。
またそれ以上に自販機で食べ物が買えるということが当時のわたしたちには衝撃的な事実だった。
大人になって思うと、自販機に備えられているからある程度防腐剤が入っているだろうし写真ほど立派なものは残念ながらでてこない。
値段も普通に買ったり作ったりすることを思うと決して安くはない。
だけどあの時あの場所で光り輝いていた自販機にわたしたちは吸い込まれていくような気分だった。
堂々と立っているにも関わらず森の中で秘密基地を見つけたような気持ちになった。

残念ながらその友達とは高校から別の道を歩むことになり今ではすっかり疎遠になってしまった。
実家にいるというのは風の便りで知っているが今どんな風に生活を送っているのかは全く知らない。
ただあの時あの瞬間に2人で味わった驚きと幸福はこれからも消えることはないんだと思っている。

 

 

 

わが五輪

 

薦田愛

 
 

ふた月に近い雨季
ツユとよぶ
季節はやっと明けたが
少し前この年の
Olympicにちなむ祝日
だのに
とどまれ いや
家に居や なんて嫌や
Olympic yearの祝日なのに

閉じることのできない
ear
耳に逆らう
新・体育の日というらしい
その日
嫌や 家に居や
って
誰が言うてや

ひひん
ひひんと
ひひんと鳴かない
牝馬かポニー
大人用三輪自転車ポニーに乗る
練習が
雨がつづいて
ひかる坂道 路面が
乾かないので
サドルの跨る
時間がなかった

夏至の坂を越えれば夕暮れは
みるみる早まる
ポニー
大人用三輪自転車の
ペダルを踏むステップへと
進まなくてはならない

「ペダルをつけてもらってきたよ
停めたままで漕いでみようか」
とユウキ
エアロバイクだったら
よく漕いでたよ
家に置いてたこともあったからね
だから
ただ漕ぐだけなら慣れてる
ぐいぐいぐるんぐるん
ほらね
「じゃあ今度の週末に公園、行ってみようか
あそこなら足もとが土だし」
え、公園って
去年、花火をしに行ったあそこかな
うちの前を右へ右へ坂をのぼって
歩くと五分くらいの
「自転車ならあっという間だよ」
うんうん
昼間は子どもやお年寄りでいっぱいじゃないかな
いやだ、はずかしい
次の週末
行ってみると公園は
ボールを蹴る子どもが駆けまわっていて
ああ無理だね

銀輪二輪すすっと走るバランスに自信がないので三輪
でももしやの補助輪
買った
「補助輪つければとにかく乗れるから
慣れたら外せばいいんだし」
とユウキ
子どもみたいではずかしいけど
おお
三輪ポニーに補助輪足すと
ほら
なんと五輪
わが五輪
「え、自転車じゃなくて三輪に?
つけてもいいけど
曲がれないかもしれないよ」
そうかな
どうしてかな
というより
あるかな大人のにつけられる補助輪
もしやと
さがす
さがしあてて取り寄せた

さあてとユウキ
つけてみようとしたら
変速ギアを外さなきゃならないから
「手に負えないや
自転車屋さんに行こう」
三輪に補助輪
わが五輪は
曲がれないかもしれない
「自転車につけたほうがいいかもしれないから
両方持っていこう」
という次第でふたり
自転車を押してユウキ
ポニーを押して私
駅前のサイクルショップへは
ブレーキの調整ペダルのつけ外しとユウキが
すでに三輪ポニーで度たびお願していて
顔なじみじゃないかな
日曜の午後の店先は
手入れ待ちの自転車でいっぱい
これもCOVID-19の影響だったりして
一時間くらいかかります
わかりましたと
図書館喫茶店スーパー経由で迎えに行く
ああついてるポニーに補助輪
わが五輪
私のポニーを支える小さな真顔がふたつ
「動くかな、乗ってみて」
よいしょっと跨ったら
そうでなくても安定の前二輪に後ろ三輪
わが五輪は
左右の安定といったらなかなかだけれど
あれれ
ペダルがちっとも踏み下ろせないや
エアロバイクとはぜんぜん違う
脚力不足かな
なにしろリアル自転車漕いだことないから
「重いのかもしれないね
曲がれるかな、やってみて」
ええっと、曲が、まがってみるね
店先の歩道
ええいっ、と左へカーブを試みようとするけれど
重くてなのか弱くてなのか
ちいっとも
「ああ、やっぱり
こっちにつけ直してもらおう
すみません」
と店のひとに向き直り
三輪ポニーから二輪につけ直してもらう
もう一度跨ってみる
軽い
かるいけれどやっぱり
ペダルを踏み下ろせない
わが五輪、は
ならず
なれど
わが四輪は
そしてポニーは
照りのこる日差しのなか
ふたり
ポニーを押す私と
補助輪つき自転車を押すユウキ
この補助輪つき自転車
経由ポニー
四輪三輪
「そうだねそうやって
ふつうの自転車にも乗れるようになるよ」
どうかな
乗れるかな
ぐんぐんペダルを踏み下ろし
ユウキの
ニンタイが尽きないうちにね

 
 

*近代オリンピック史上初めてのエンキだという。東京大会が翌年同日時へ変更された。COVID‐19と呼ばれるウイルスがはびこり被害が広がるのを阻むため、ヒトとヒトを距てよ、むやみに出歩くな、家にとどまれ、と各国で公けに叫ばれた。満員電車の通勤を避け、自転車を使うひとも増えたと言われる。そのような年であった2020年、記す。

 

 

 

Dense Foliage

 

工藤冬里

 
 

影のスキルアップ
のキャンペーン
で喜びに溢れ質問すれ
ば興味を抱かせること
ができる 誰の子ですか 
ご存知ですか 
ウィルスに晒され
ている交遊
が熱意に沸騰する 
頭で準備して心
にダウンロードする舌
を混ぜ合わせる
天体測量の器械
を儀と言い
牛のフライ
を犠と言う
それに対して
議は速弾き出来る総理の刑法上の罪
を減じる特典 
見えない担当者
を悲しませる
建物ジュース
で方向を定め直す 
潮溜りの淵 化学物質 
希望を奪い 目的がない
と覆い隠している
メモとタグで二足歩行トランス
のバスタブを深くする
とできるようになる
Dense Foliage
は周りに目を向ける助け
になります
白黒の夜空の天井 
百倍返しだ

 

 

 

#poetry #rock musician