Snow is falling thick and fast.
雪がどんどん降っている。 *

 

さとう三千魚

 
 

sunday
afternoon

I talked to my old sister in Akita on the phone

“already”
“the snow on the road has disappeared”

“it’s sunny today”
“ate lunch with my friends”

so
my old sister said

her husband is gone
the dog also died

her child went out to the city

she lives with a cat
she said she was up at 4am and shoveling snow

it was snowing
it is snowing

Snow is falling thick and fast *

 
 

日曜日
午後

秋田の姉と電話で話した

もう
道路は

雪が消えたよ

今日は晴れて
友達とランチを食べてきたの

そう
言った

義兄は逝き
犬も死んだ

子どもは都会に出た

姉は猫と暮らしている
朝4時に起きて雪かきをしていると言ってた

雪が降っていた
雪は降っている

雪がどんどん降っている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

旅立ちが遺すものは

 

ヒヨコブタ

 
 

真っ黒に焼けた顔でにかっと笑うとき
少し黄ばんだ歯がのぞくのを覚えている
その口で
俺は学がないからねといつも口癖のように

学がないということの意味はそのうちにわかってきた
祖父母の意向で長男だけは上の学校に進めなかったこと
代々の土地を
畑作を守るためのひとだという理由で
さして年も変わらぬおばは女学校に
兄弟姉妹を親が働く間子守りまでしていたのはそのひとだというのに
にかっと笑うその笑顔はすこしさみしそうで
自嘲気味のことばも
意味がわかってくるたびにかなしくて

存分に与えられたのはお金だったろうか
本当に欲しいものは
ほんとうは
愛情だったのではないかと

気弱な父と姑に逆らえぬ母をそれでも慕う
そのおじが
旅立った
いつもかあさん、いるかい?
と裏口から入ってきて
人形遊びをしている姪にちらりと視線をくれるひと

親同士が仲違いをしてもうしばらくになった
会うこともかなわなかった

こうしてひとりひとりのおじやおばが
旅立っていく
わたしにすこしのさみしさと
温もりのある記憶をおいて

行かないでと幼ければ泣いたろう
いまは
行ってしまうことの安らぎを願う
またあたらしい日々が戻れば
週明けにはにかっと笑うのではないか
幼いわたしに残したおじの笑顔が
焼きついて消えない