This poem is attributed to him.
この詩は彼の作品とされている。 *

 

さとう三千魚

 
 

awake

blue sky morning
windowside

bulbul standing

wild cherry blossoms were blooming in some places on the west mountainside

This poem is attributed to him *

 
 

目覚めて

青空の朝の
窓辺

ヒヨドリの佇む

西の山の中腹のところどころに山桜は咲いてた

この詩は彼の作品とされている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

キャンセル・カルチャー

 

工藤冬里

 
 

期日のない〆切は迫り 迫るほどに遠ざかるが 全ては同時だという考え方が 死を囲いに追い込む どの政府も悪く思わないようにするが 巷に捨てられた銀を見てから優先順位を定めてももう遅い 戦況はどうですか マタニティードレスの険しさの中に 平和の蟲は忍び寄る

 

 

 

#poetry #rock musician

人形の夢と目覚め

 

辻 和人

 
 

ソファ ミーソドシーソレ ドーミーーードシ
ラーファレドーシー ド(ソソファミー)ー

「お風呂が沸きました」

夕食後、食器片づけてテーブル拭いた直後

これね
ウチの給湯システムで
お風呂が沸いたのを知らせる合図のメロディー
家を建てて最初にお風呂使った時
「あ、聞いたことある」
でも曲名は思い出せず
だからどうってこともないのでほっぽっておいたんだけど
最近になってわかりました

友人ち訪ねたら8歳のユミちゃんがピアノ披露してくれたんだよね
わざわざ白リボン胸につけてくれちゃってさ
かわいくお辞儀までしてくれちゃってさ
手首がこくっと傾ぐと細い指先から
どこか聞き覚えのあるメロディーが次々流れる
つっかえることなく演奏は進み
ソファ ミーソドシーソレ
ああ、これこれ
ぼくもちっちゃい時弾いたんだった
しかもピアノの発表会で披露したんだった
終わってにこやかにお辞儀
パチパチパチ 上手上手
楽譜見せてもらう
テオドール・エステン作曲「人形の夢と目覚め」
これだ、これだ
懐かしいなあ

「ミヤミヤ、お風呂沸いたってさー」
キッチンもテーブルもきれいになったことだし
ミヤミヤがお風呂入っている間
ちょっとお姉さん型にバージョンアップしたユミちゃんをお招きして
7歳だったミニかずとんの発表会の様子を覗いてみましょう
ユミちゃんさん、どうぞよろしくお願いします
「こちらこそ、よろしくお願いします」

さて、ミニかずとん、紺のブレザーで紫のネクタイ締めてますね?
「まあまあでしょうか。おかあさんにやってもらったのかな。
歩き方がぎくしゃくしてカッコ悪いですね。
下ばかり見てないでもっと頭を上げた方がいいですね」
はい、今でもミヤミヤによく「頭上げっ」と言われます
椅子の調整が終わって演奏始まります
最初は人形が眠りにつくパート
ソーファ ミーファ ソーー ミーー
「うん、出だしは悪くないね。
左手の分散和音もしっかり弾けてる。
あ、腕が交差するトコちょっともたついたかも。
練習曲では腕が交差する場面あんまり出てこないから。
でも、お人形さんがだんだん眠たくなってくる雰囲気がよく出てると思います」
ありがとうございます
しっかし顔はのっぺり無表情だね
ユミちゃんさんみたいににこやかな感じは出せないのかな

次はいよいよ
ソファ ミーソドシーソレ ドーミーーードシ
ラーファレドーシー ド(ソソファミー)ー
「お風呂が沸きました」でおなじみ、人形が夢の中で遊ぶパートです 
や、さっきよりお目々尖がってるか
「テンポ速すぎるかな、アガッてるかな。
肘、開きすぎ。
どんどん速くなってる、速くなってる、
左手追いつけない、あーあ、はずしちゃった。
まあ、仕方ないですね。
遊んでれば転ぶこともありますよ。
まあ、お人形さん、はしゃぎすぎちゃったって考えれば
まあ、たいしたことないですよ」
おーっ、さすが
ユミちゃんさん、お姉さんですねえ
おっと、次のちょっと哀調を帯びたフレーズ
ミレ# ミーシレドーシラ シーミーーーミレ#
ミーシレドーレミ レ(ソレレドシー)ー
立ち直ってきたかな
「さっきちっちゃく深呼吸してましたよね。
落ち着きを取り戻した感じでなかなかいいんじゃない?」
はぁ、ありがとうございます
また「お風呂が沸きました」のフレーズに戻ってこのパート無事終了

ミドソッミドソッ シッレッレー
レシソッレシソッ ドッミッミー
ミドソッミドソッ シッレッレー
レシソッレシソッ ドッミッドッッ
人形が夢から覚めて動き出すパート、だけど
「うーん、さっきの失敗が尾を引いて
慎重すぎ、テンポ遅すぎ。
お人形さん、朝の体操するよって勢いの曲なのに
溌剌としてないなあ。
ミニかずとん君、男の子なのに打たれ弱すぎ」
ユミちゃんさん、「男の子なのに」なんて言ったら
ジェンダーバイアスかかってるって文句言われちゃいますよ
「平気平気、だってミニかずとん君が弾いてるの1971年なんでしょ?
この時代だったら平気ですよ」
そういう考え方もあるかあ
「でもまあ、安心して聴けるかな。
おっとりした曲になっちゃったけど
夢から覚めて二度寝するお人形さん、って考えれば、ね」
ミニかずとん、口を一文字に結んで
安全策を取る決意を露わにしているぞ
ミドソッミドソッ レシソッドッ
ミドソッミドソッ レシソッドッ
ドドーーッド ドーーー
終わりました
パチパチパチ
「とりあえずちゃんと弾けたよ。うまいうまい。
お疲れさまーっ」
ミニかずとん、ほっとした顔で椅子から降りて
両手を両脇にぴったりくっつけて
ぎこちなーくお辞儀
ぎくしゃくぎくしゃく
舞台の袖に退散
ユミちゃんさんもありがとうございました
「どういたしまして。楽しい演奏聴けて良かったです」
お世辞もお姉さんっぽいユミちゃんさんでした☆

ミニかずとん
思ったよりちっちゃかったな
思ったより緊張してたんだな
思ったより臆病だったんだな
かずとんが無駄遣いしなかったり出世しなかったりするのは
この頃からの思い切りの悪さからきてるんだな
大丈夫、そういう部分はさ
いつかミヤミヤっていう
決断力バツグンの女の人が現れて
しっかり補ってくれるからさ
そのままでいいんだよ
だいぶだいぶ未来の話になるけど
ぎくしゃくぎくしゃく
いいんだよ
「かずとーん、上がったからお風呂入ってーっ。
後でお風呂場で上着干すからハンガー2つ持ってきてーっ」
はぁーい
それじゃ、明日の晩もよろしくね

ソファ ミーソドシーソレ ドーミーーードシ
ラーファレドーシー ド(ソソファミー)ー

「お風呂が沸きました」

 

 

 

夢素描 12

 

西島一洋

 
 

 

林君は中京テレビのテレビ塔のてっぺんに立てこもっている。周りが騒いでいる。中継もしているようだ。

テレビ塔というのが良いと言う人の声。今どきこんな純粋な人がいるんだという人の声。総じてというか、全ての人の声は賛辞ばかりである。そして、すごく、とてつもない人気だ。

テレビ塔に向けて、どんどん人が集まってくる。テレビ塔に向かう道は、すべて人が押し合いへし合いしながら、ぐぉーと進んでいる。まるで祭りの夜店のように店も出ている。僕も、そのテレビ塔に行こうと人混みを掻き分けていく。

ふと見ると、もうひとつの人の動きが合流していた。それは、原さんの今度の新しい芝居の最初の顔見せ会。役者や照明や音響や美術など、始める前の打ち上げというか、宴会というか。とにかく関係者全員が集まるという。

もうひとつの人の動きは、先のテレビ塔への人の動きと渾然一体のようになっているが、目的地は違うのだ。ただ、こちらの方の、もうひとつの人の動きは、テレビ塔に向かう人々の様に、目的地にむかって様々な方向から移動しているのではない。一旦どこかに集まって、それから、どこかへみんなで移動しているのだ。

しかし、その目的地が誰もどこかよくわからない。開始時間に遅れているようで、焦って迷っているようでもある。

でもこの集団は、一旦どこかの建物に入ってしまった。偶然だったが、おそらく、ここが会場だということだ。でもまだ宴会は始まっていなかった。豪奢というか、贅を尽くした、すごく豪華なところだ。

ホテルのロビーのような、ロビーというか床が広くて、そこに点々と人がいて、風景は鮮明に思い出す。調度品というか、机というか、ドジョウ屋のような、ドジョウ屋は行ったことないが、だだっ広いところで、大広間だが、天井は低い。

とにかくまだ始まってなくて、というより待たされてというか、待たなくてはいけない。待ち時間は2時間位とか。とにかく始まるのは午後8時半ということらしい。ということで、始まるまで、どこかで時間をつぶしてくるため、みんな一旦ばらばらになった。それぞれがどこかに出ていった。

実は僕は無意識のうちに、このもうひとつの人の動きの方にも合流していた。

僕も外に出た。

そこを出て、うろうろして、ただ、ただ、うろうろしていたばかり。しかし、うろうろしてるうちに、位置感覚を失ってしまった。つまり、道が分からない。宴会場に戻らなくてはいけないのだがそこがどこかわからない。

ふと見ると、ずっと出演者が並んでいたのでそこの一番後ろにつくことにした。ついてはいたが、とにかく先に行こうと思って一旦列を離れた。

その列が、トンネルというか、小屋の隅というか、アーケードというか、細いので、人が一人ずつしか通れない。つまり、一列しか人の流れができないのだ。しかしその列から外れて先に行こうと思った。

ちょっとしたアイデアがあった。

つまりその細いトンネルのようなところから、横に飛び出して、もうひとつの空間というか通路にひょいと身を投げた。追い越そうと思って行ける隙間を見つけたのだ。隙間だが、結構広くてゆったりとしている。これならスイスイと先に行けることができそうだ。

追い越している最中に、途中に、円楽が話しかけてきた。円楽はこの芝居の昔の役者だった。もと一緒だったが今は外れていた。円楽は、林君が立てこもっている中京テレビのテレビ塔に一緒に行こうと言った。僕は道が分からないので、円楽が案内してくれるとのことだった。

とにかくテレビ塔まで一緒に行こうということになった。ただ、何故か分からないが遅れているような感覚があった。途中から、案内する人が平山君も加わった。そのうち円楽はいなくなって、平山君一人になった。とにかく人混みを掻き分けて進んだ。みんな中京テレビのテレビ塔に向かっている。

人を掻き分け掻き分けテレビ塔に向かった。

テレビ塔の下では人が集まっていた。テレビ塔は、塔というよりも、高い建物が3つぐらいあって、その3つのうちのそれぞれに屋上に人が集まっていた。

ざわざわしていた。明かりも付いていたし、照明も当たっていた。そのどこのビルに林君が立てこもっているのか近くにいる人に聞いてみると、あそこの遠いほうのちょっと低い所のビルだと言っていた。

そこへ向かおうとしたが、宴会の開始時間が迫っていたので、一旦宴会場に戻ってから、もう一回こようと思った。

宴会場に戻ろうとしたら色々と話し声が聞こえてくる。テレビ塔に立てこもっている林君のことを、若い女性たちが、現代のキリストだと言ったり、この時代でもこういう心の綺麗な人がいるんだとかとにかく、相当周りの人が持ち上げ持ち上げてまるでスーパースターのようになって、どんどんどんどん人が集まってくる。

僕は一旦会場に戻ろうとして、会場と言うのは宴会場なのだが、人ごみに紛れて道もわからない。

通りがかりの小学生くらいの女の子に、道を聞くと、直接に案内してくれると言う。そこでその子についていく。一旦その子の家にたどり着く。学校から帰る途中だったようだ。
でも彼女の家も宴会場に行く道の途中でもあったようだ。彼女の家は、下がっていく坂道の途中だった。何人かは他の子供達もついてきた。
僕が林君のことを言うともう彼女が知っていた。だから余計に親切もしてくれた。
とにかく、途中までは送ってくれたとき、もうちょっとのところだから、あとは僕一人でも道はわかるので、と僕は言って、彼女に帰ってもらった。もう時間が遅いので、おそらく心配している彼女の家に、お礼とお詫びの電話をかけた。彼女の名前は忘れた。

それからひとり歩き始めると、ある建物があった。ここも何かの宴会場だったような気がするが、とにかくそこを通り抜けようとして、人に道を聞くと大体こっちの方向だと言うことが正しいと言う事だけはわかった。

しかし、さらに迷って歩き続けていると、この辺が前後するが、宴会場に入るときに、靴を脱ぎ棄て裸足になってしまった。トイレに入ったような気がするが、とにかく脱ぎ捨てた靴を探そうとする。

どこに行ったかどこに脱いだかわからない。店の人に聞くとこちらではないかと言うが、結局見つからない。

それから携帯が壊れてしまってどのボタンを押してもどんどんどんど変な画面が出てくるだけで全く反応しない完全に壊れている完全に壊れている。つまり携帯も使えないってことだ。

とにかく林君と原さんに電話をしようとしたがどうしようもない、連絡が取れない。

とにかく宴会場に戻るのが先決だ。さらに人混みを掻き分けて行く。

中京テレビのテレビ塔に立てこもっていた林君が自刃したという。覚悟をしてテレビ塔に立てこもったと言うことらしい。

僕はすぐにテレビ塔に戻ろうとしてさらに人を掻き分けて行く。

そういえばテレビ塔から宴会場に戻るときに途中で、古い製麺所があった。うどんを作るところ。黒い囲炉裏のようなすごくでかい穴蔵があってその中でうどん粉をこねるのだと言っていた。

とても凄い所だし、人気の場所で人気の場所でたくさんたくさんの人が生のうどんを買いに来てた。

僕は時間がないのでとにかく先を急ぎたかったのでまた来るよと言って通り過ぎた。割烹着の女店主がいた時代は昭和20年代から30年代な感じかな。

 
 

さて、後記。

おそらく、もう忘れたことがたくさんある。

とにかく異様な夢である。
上記はメモにしかすぎない。

林くんはふんどし姿だった。
遠目でしか見ていないが、
かなり小さくしか見えていないが、
あれが林君だということがわかった。
頭にハチマキをしていた。
なぜあの時すぐにテレビ塔に登りにいかなかったのか。
すぐに死ぬと思わなかった。

僕としては、とにかく宴会場に戻ってから、
「今、林君がテレビ塔にいる、行かなくてはならない」と皆に言って、すぐにテレビ塔に戻ろうと思っていた。
林君はアジテーションで僕の名前も出していたようだった。
悔やまれる。

原さんのお芝居はたくさんの出演者がいた。
おそらく100人ぐらいか。

もちろん、後記も夢である。