I put aside the book I was reading.
私は読んでいた本をわきに置いた。 *

 

さとう三千魚

 
 

yesterday

from evening
it was raining

it became a storm at midnight

the rain was banging on the ground

this morning
sunny

on the windowsill
I put the tangerines of the little birds

I listened to Thom Yorke’s song

repetition
listened

singing “we were standing on the edge” **
singing “we were standing on the edge” **

this morning
on the windowsill

little birds do not come

I put aside the book I was reading *

 
 

昨日は

夕方から
雨が降ってた

深夜には嵐となった

雨が
地面を強く叩きつけていた

今朝は
晴れて

窓辺に
小鳥たちの蜜柑を置いた

トム・ヨークの歌を聴いた

繰り返し
聴いた

“we were standing on the edge” ** と歌っている
“we were standing on the edge” ** と歌っている

今朝
窓辺に

小鳥はこない

私は読んでいた本をわきに置いた *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用しました.
** RADIOHEADの曲「LUCKY」から引用しました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

追いつけぬ、春

 

ヒヨコブタ

 
 

濃い紅色の花が咲く頃はとても嬉しいのに
薄く色づいた花が咲き始める頃
わたしは落ち着かなくなっている
毎年のことだ
と言い聞かせようとして
さて
毎年がここ数年は少しずつ異なっていることを思い知らされて
また落ち着かない心持ちになる

家の窓口になるというのは
不幸があってもお祝いがあってもさしてかわらないのだが
不幸が続くと
花をみる心も揺らぎ始める

墓参りを済ませ
すこし清々しく感じても長続きせず
年老いて気弱になり始めることばを吐く人たちに
ゆらゆら揺らされていることにも気がつく
平気な顔をしてそれらを片付けては
ため息のような空気がこころにたまっている

変化していくのはなにも子どもの頃だけではなかったのだ
大人になり年々季節が変わるのに追いつけなくなっているじぶんがいる

わたしの年齢にかつて暮らした親を重ねてみても
なんだか心許ないのは
そのひとたちに心底安心を得て過ごしてきていないからではないかと
責任転嫁してみる
いや揺れ動くじぶんを
操ったり宥めたりすることが
まだまだ不得手なのだと
思い知らされる気がする

春を待ちわびていたのは
何かが変わるからだった
いまはそうではないのかもしれない

日々新聞をひらくとそこには猫が乗り
撫でろと鳴く
一枚捲るのに宥め撫でながら
すこしの安寧がそこにあることを思う
猫は撫でて欲しいのか
はたまたそうではないのか
わからないまま撫で、ブラシをかける
気が変わりすとん、とジャンプをして
また寝入る猫に
羨ましいようなほっとするような不思議さ

春は嫌いだといえばいいのか
いや春は好きだ
いまのじぶんの心持ちが好きではないのだと
離れたじぶんがじぶんをみている