公園プレデビュー

 

辻 和人

 
 

陽光が風のように
さあっと吹いてくるって思った
ゴールデンウィークの中日
行楽地なんてとても行けないけど
「子供たち連れて公園行こっか」とミヤミヤが提案
公園プレデビューだ
公園っていうのは近所にある団地内の公園
徒歩でほんの4、5分ってところ
ぼくはこかずとん、ミヤミヤはコミヤミヤ
抱っこ紐つけて
外に出た
あったかい
4月はどうかすると寒い日もあるけど
5月になると急にポカポカするんだね
よいっっしょよいっっしょ
一歩一歩慎重に
団地に渡る歩道橋では小学生みたいに
右見て左見てまた右見て
一歩一歩、2人に何かあるといけないから
団地内の小道をよいっっしょよいっっしょ歩いて
広いところに出た
公園だぁ
鉄棒で女の子が逆上がりの練習してて
くるっ、成功、やった
ちっちゃい男の子が滑り台を
滑り滑り降り降り、お母さんがズボンの埃をパンパン払ってやる
平和な風景だなぁ
抱っこ紐の中のこかずとんは
まだ視力弱くてこの風景把握できない、んだけど
さぁっと
陽光が
風のように吹いてきた
首、上に伸ばした
鼻、ひくっとさせた
感じた、感じ取ったぞ
陽光を風のように感じたこかずとん、それにぼく・かずとん
何だかこの光景の中に
溶け入ってしまいそうだ
今頭上で爆弾が炸裂したとしても
溶け入ってしまって
気づかないだろう
足元の石畳に染みみたいな跡が残るかな
木陰に入ってミヤミヤと写真を撮り合った
コミヤミヤ、口パクパクさせてる
こかずとんもだ
ああ、もうすぐミルクの時間だもんな
それじゃこの辺りで引き返すとしますか
公園プレデビュー無事終了
陽光が吹いてくる
さぁっと