小さな喜び

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 25     yukiko 様へ

さとう三千魚

 
 

朝に

目覚めて
明るい

庭を見ている
生垣に

野ばら
咲いている

うすい
黄色の

野ばら
咲いている

それだけでいい
それでいい

 

 

memo.

2022年11月26日(土)、しずおか一箱古本市での水曜文庫で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第七回で作った25個めの詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、詩の画像をメールでお送りしました。

タイトル ”小さな喜び”
花の名前 ”バラ(うすい黄色)”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

燈明

 

たいい りょう

 
 

生者が 死者へと
変貌し
彼岸へと赴くとき
残されし者は
死者の足下に
燈明を手向ける

盲目の死者たちは
微かな光を頼りに
無限の世界へと
渡ってゆく

瞼を焦がす
ような
彼岸の灯りは
未だ死者のもとには
届いていない

長い長い 道程を
経て
死者は 大いなる光を
身に纏う

その時 生者は 死者との
再会を果たす