象の風景 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 30     chihiro 様へ

さとう三千魚

 
 

象は

歩いた
だろう

堺から
長崎の

西坂の丘まで
歩いただろう

そこには
二十六聖人が

並んで
浮かんでいる

象は

酔って
照れ隠しに

笑っただろう
白い歯で笑った

帰ろう

野良猫のいる
西坂に帰ろう

百合の花の薫る

長崎の
西坂に帰ろう

 

 

***memo.
2022年12月7日(火)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った30個めの詩です。
お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”象の風景”
好きな花 ”カサブランカ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

しらす ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 29     tokio 様へ

さとう三千魚

 
 

もう
昨日か

冬の
曇った

港町を

ふたり
歩いた

冬桜が
咲いていた

家並みの
細い道の

向こうの

海が
光っていた

しらす舟は
網を曳いていた

舟は

しらすを
掬う

ひびわれ
しわぶいた

ものたちを掬う
海の底から掬う

 

 

***memo.

2022年11月28日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った29個めの詩です。

お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し郵送、詩の画像をメールでお送りしました。

タイトル ”しらす”
好きな花 ”冬桜”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

朝に

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 28     michiuo へ

さとう三千魚

 
 

夜中
目覚めた

女と
モコを

起こさないよう
階段を降りる

湯を沸かし
珈琲を

淹れる

紙を
ひらいて

平らに
ひらいて

花を
待つ

待っている

 

 

memo.

2022年11月26日(土)、しずおか一箱古本市での水曜文庫で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第七回で作った28個めの詩です。

自分のために詩を書きました。

タイトル ”朝に”
花の名前 ”無花果(イチジク)”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life