島影 50

 

白石ちえこ

 
 


新潟

 

海からの強風で国道に砂が押し寄せていた。
誰もいない浜を歩くと捨てられた冷蔵庫や季節外れの海の家が半分砂に埋まっている。
こんなに埋まってしまうまで、どのくらいの時間がたったのだろう・・。
立ち止まってぼんやり景色を見ているうちにも砂は吹き寄せる。
わたしも足元から砂に埋まっていく恐怖がわいてきて足を踏み出す。
歩くうち、轍がついた浜辺に出た。遠くに紺色の海が鈍く光っている。
ヒトの気配に触れて、少しほっとした。