有田誠司
誰かの意見に対抗出来るような意見も人格も
持ち合わせていない僕は
ただうなずく事しか出来なかった
時には誰かの意見を借用して
さも自分自身の考えであるかの様に
振る舞っていた
自分の価値観を持たず
いつも
他人の視点と尺度を借りて来なければ
何ひとつとして判断出来ない人間だった
他人の目に良く映る僕の形を
自分の中に創り出していた
人畜無害を装い 心の中の悪魔に蓋をした
歪な世界の枠組みの外
もうひとりの僕が立ち尽くしている
不確かではあるが感じる事が出来る
その単純な思考の一面性の裏にある
もうひとつの現実から乖離した思考が
終わりに向かう歩みを止める
本来 保持するべき核は表には無く
表面に有るものは凡庸な思考の維持に過ぎない
読解困難な難解な文章を何度も読み返していた
その悪文の中に全てが存在する
僕の核が其処にある