西暦2023年11月25日から26日に朝にみた夢

 

佐々木 眞

 
 

 

ある夏の日の朝、突然あらゆる交通機関が停まってしまった。

大勢の人が職場へ行こうとしても、電車もバスもタクシーも動いていないのでどうしようもない。
その結果、国民の大半が丸一日自宅待機の状態になってしまったが、
このことについて当局からの発表は何もなく、マスコミも何も伝えない。

人々は疑心暗鬼に駆られながら眠れない夜をすごしたのだが、
夜が明け、翌朝になっても事態は何も変わらず、
電車もバスもタクシーも、まったく動いていない。

ここ首都圏から少し離れた海辺の旅館では、朝から宿泊客たちが大広間に集まって、
三々五々ああでもないこうでもない、と口々に自分の意見を述べるのだが、
相変わらず確かな情報はどこにもない。

旅籠のおかみの老婆が、勘定場から出てきて、最新の国連情報を披露したが、
その話の中にも、今回の事件に触れた発表は何もなかった。
すると、なぜかおらっちの弟の善チャンが出てきて、母の愛子さんから聞いた話を始めたので、
何か重大発表かと思ったみんなが耳を澄ませると、案に相違してこんな昔話だった。

今からおおよそ半世紀前の昔、
夏場は臨海学校だったその旅籠で、中津川のおばさんは、まだ幼かった愛子さんに
「この世は所詮へのへのもへのやけど、とりあえず毎日早寝早起きせんといかんで」
と、噛んで含めたそうだ。

 

2024/1/23