雪も命も 溶けていざなう 月の人

 

一条美由紀

 
 


アンダーラインをつけていた気持ちは
1枚の花びらより軽かった
消えてなくなってみれば
意外といらないものだった

 


今日はどの顔で過ごそうか
繕わなきゃ普通に生きれない
みんな自分に色を乗せてなんとか上手くやってる
不確実な明日を見たくなくて
ヘラヘラ笑ってやり過ごす
積み重なった雑事の多さに思考を停止
共感求めて動画を漁る
歯の欠けたじいさんと安い酒場で意気投合
大した哲学者のごとく語り合い
内心はお互いを否定する
高層ビルに反射する朝日は嘘くさい
出勤の靴はやたらと重く
大声で悪態つく妄想に救われ
今日も立派な常識人
金を数えに歩き出す

 


土をかけられた棺の中のあなたはあれからどこに行ったの?
夜私のベットにふんわりと腰掛けたの、わかっていた
でも死んだはずのあなたを見るのが怖くて
目を開けることができなかった
あの時ちゃんと見ればよかった
幽霊の姿になっても会いにきてくれたあなたの姿を

 

 

 

海と空と雲をスケッチする

 

さとう三千魚

 
 

夕方に

コーヒーをポットに入れて
クルマで

海に出かけた

モコはいない
海がいた

空がいた
雲もいた

カモメがたくさん飛んでいたよ
風が吹いていたよ

クルマのバックドアを押し上げて
その下に

椅子を置いた
コーヒーを飲んだ

それから
0.35mmのシャープペンで

海と空と
雲をスケッチする

 

 

 

#poetry #no poetry,no life