ピアノとの時間

 

ヒヨコブタ

 
 

指をのせる
呼吸して無心になる
無心にならないとき
ピアノにはわかってしまうのではないかと思う
本気ではないと
向き合っていないということが

なめらかでなくともいつかなめらかにと
またその日を願いながら弾く

いつからかピアノと向き合うことの楽しさが
難しさが
深くなって
適当に弾いていればそれでも音は鳴るというのに
それでは済まなくなった
わたしのなかで

向き合えば音はこたえてくれるのだということ
とても落ち着くのだということ
指が絡まれば音も絡まり続けていく
不思議な時間
ピアノの前を離れたくないと思う不思議な時間
いつまでも続いてほしいとすら思う不思議な時間

 

 

 

There used to be an old temple here.
(今はないが)以前ここには寺があった。 *

 

さとう三千魚

 
 

morning

on the altar

water and

tea
rice

offering flowers

burning incense sticks

died
Mother in law

died
father in law

died
mother

died
father

died
brother in law

think of their faces

pray together

living friends
died friends

that poet

think of their faces

laughing
Laugh back

Moco is coming and looking

There used to be an old temple here *

 

 

仏壇に

水と

お茶
ごはん

花を

供える

線香を焚く

死んでいった義母

義父


義兄の

顔を思い浮かべる

手を
合わせる

生きている友人や
死んでいった友人たち

その詩人の

顔を
思い浮かべる

笑っている
笑いかえす

モコがきて見ている

(今はないが)以前ここには寺があった *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

島影 22

 

白石ちえこ

 
 

千葉県 久留里

城のある町へ向かった日。房総半島旧道。
白い鳥がたくさんとまっている樹が遠くに見えて、近づいてみると鳥ではなくて大きなモクレンの花が咲いていた。
その近くにあった樹は土に埋まった蹄のある動物の頭部にも見えた。
幹がぐんぐんとのびた角に見えたり、または、木肌を押し破って出てきた白猿が東に向かって頭を下げ、手を合わせて拝んでいるようにも見えた。
鏡の中の、もうひとつの国に迷い込んでしまったような奇妙な一日だった。

 

 

 

He cannot speak German, still less Russian.
彼はドイツ語はもちろんロシア語も話せない。 *

 

さとう三千魚

 
 

midnight

awakened

after dinner
I fell asleep

on the sofa

awakened

took a shower

at midnight
took a lukewarm shower

the fan is spinning in the living room
Shaking the head

Moco is sleeping under the table

in the evening
I took an English conversation lesson

if English becomes familiar to the lip
go on a journey

He cannot speak German, still less Russian *

 

 

深夜

目覚めた

夕食の後に
眠ってしまった

ソファーで

目覚めた

シャワーを浴びた

深夜に
ぬるいシャワーを浴びた

誰もいない居間で扇風機が回っている
首を振っている

モコはテーブルの下で眠っている

夕方に
英会話のレッスンを受けたのだった

英語が唇に馴染んだら
旅にでる

彼はドイツ語はもちろんロシア語も話せない *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

怖れ

 

工藤冬里

 
 

絶望するしかないわけではありません
埃のように私は舞う
食事と睡眠どっちが怖いか分かりません
エルピスというのかギリシャ語で希望
なんていうんだろう絶望は
疎開先では飢えが怖い
入って来ないように灯りを消そう
書く欄がありません
ソーランを養う
山鳩は歌う
力強い羽音に狂う
今日はトンボたちだけが酔う
一緒に住むことを快く思う
って言ってるだけじゃだめなんだって
空の青に剣
飲み物としての眠気も怖い
決意ができていない
早く起きろよ

 

 

 

#poetry #rock musician

The children hung about their mother.
子供たちは母親にまとわりついた。 *

 

さとう三千魚

 
 

Midnight

After taking a shower
In front of the desk on the second floor

Rowing a boat

The boat was shaking

My head fell down

Once

I’ve been alone in the sea with a small boat

At the end of the breakwater
Anchor down

I hung a white thread in the sea

To fish finder
A fish shadow was reflected near the sea floor

The fish had flocked together to form a thick shadow
The fish were flocking and had a dark shadow

The fish were playing

The children hung about their mother *

 

 

深夜

シャワーを浴びたあと
二階の

机の前で
舟を漕いでいた

揺れていた

頭が

がくんと落ちた

かつて

小舟でひとり海に出たことがある

離岸堤の先に
アンカーを降ろした

白い糸を海中に垂らした

魚探には
海底近くに魚影が映っていた

魚たちは群れて濃い影となっていた

戯れていた

子供たちは母親にまとわりついた *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life