あきれて物も言えない 22

 

ピコ・大東洋ミランドラ

 
 


作画 ピコ・大東洋ミランドラ画伯

 
 

モコという犬と、女と、暮らしている

 

朝になった。
机の前の窓の障子を開けると雨が降っていた。

ガラスには雨粒があり西の山は雨雲に覆われて灰白色の雲の中にいるのだろう。
時々、強く雨は降ったりしている。

朝の散歩には行けないだろう。
モコと女は、まだ眠っている。

モコというのは飼っているわたしの犬のことです。

ペットショップから連れて帰ってきたんです。
モコは、ミニュチュア・ダックスフンドの赤ちゃんでした。
ペットショップの低い柵の中で他の兄妹たちが元気に遊んでいる柵の奥の隅で、
ちいさく震えていたのです。

その震えているちいさな子が可愛くて連れて帰ってきたのでした。

顔がクリーム色のハート形で、その中に大きな黒い瞳ふたつと黒い鼻がありました。
ハート顔の外側は暗い茶色で頭と耳がついていました。
その暗い茶色が背中まで続いてお腹がクリーム色の熊の赤ちゃんでした。
熊の赤ちゃんの丸い顔は一年も経たないで鼻がすらりと伸びて大きな瞳の少女になってしまいました。

モコは小さいので夏の暑い日や冬の寒い日には散歩が苦手です。
体が小さくて足が短いので夏の地面やアスファルトの熱さや冬の寒さに弱いのです。
でも車の助手席に乗ってドライブするのは大好きです。

ペットショップからモコを連れ帰ってもう12年が過ぎました。
モコの仕草や吠え方でモコの言うことはほとんど理解できるようになりました。
モコもわたしが外出することを日本語で伝えると理解して仏壇の前の座布団に行って眠るようになりました。
仏壇は女の母の仏壇です。
義母が亡くなった時、義母の枕元にいてモコは義母の顔を舐めていました。
犬が舐めるというのは愛の行為なのです。

小さくてか弱いモコも少女になり、もう12年が過ぎて、おばさんになってしまいました。
でもわたしには、いまも、可愛い”少女”のように思えてしまうのです。

少女のように可愛い”おばさん”というのも、この世にいると思います。
できれば、そのような”おばさん”に会いたいですね。

 
昨日の夜は、深夜まで女が録画した相撲中継をソファーで見ていました。
モコは女の横で添い寝していました。
女がベッドに眠るときモコも連れていくのですがモコは寝てくれないのです。

わたしのたてる微かな物音を聞いてモコはベッドに来てと吠えるのです。
わたしは本の部屋で本を読んでいましたが、読書は中断してベッドのモコに添い寝しました。
そしてそのまま朝まで眠ってしまいました。

モコの体はふあふあで、あたたかいのです。
ふあふあのモコといると幸せになるのです。

 
あの地震が起こって、あの光景を見て、10年が経ちました。

まだまだ、大切な人や大切なものを失い避難されている方たちや、心や体に傷を抱えた方たちがいるでしょう。
福島の原発の処理はまだ終わらないでしょう。
オリンピック・パラリンピックは海外からの観戦者の入国を断念したそうです。
しかし震災からの復興を世界に示すという茶番は終わらないでしょう。
疫病の蔓延もまだ終わっていないです。
世界で紛争はまだ続いています。

流浪する人びとがいます。

たくさんの流浪する人びとがいます。
私たちもその一人です。
モコのふあふあのあたたかい体を抱いて、眠って、朝になりました。
流浪する私たちは私たち自身の底を破って、流浪する人びとと底の底で繋がるほかありません。

そこに小さな光が見えています。

 

呆れてものが言えません。
ほとんど言葉がありません。

 
 

作画解説 さとう三千魚

 

 

 

millennium,
beddellium

 

工藤冬里

 
 

不満を口にする人々を焼き尽くしていった
焼かれる時は熱かった
トンコツ味のマナを所望すれば良かったのに
今年の春は花を見る余裕がない
去年もそう思った
ゼカリヤのスオウが咲き始めた
去年もそう思った
千年生きるとかメドベッドとか言ってるけど
千年はとても短い
この春が十倍伸びたくらいじゃ何も成し遂げられないだろう
焼かれる時は千年後も熱いだろう

 

 

 

#poetry #rock musician

The child slumbered soundly.
その子供はぐっすりと眠っていた。 *

 

さとう三千魚

 
 

to play **

it will be in a state where everything else is thrown away **

so
he

was tweeting

to play
play

that is

similarity and contact
in the paradigm and connection

it was swaying

after playing
children

slept
they fell asleep

The child slumbered soundly *

 
 

遊ぶ **
ということは **

他のことがすべてが捨てられるような状態になりますね **

そう
彼は

つぶやいていた

遊ぶこと
遊び

それは

類似性と接触
範例と連接のなかに

揺れてた

遊んだあと
子どもらは

眠りました
眠ってしまいました

その子供はぐっすりと眠っていた *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
** twitterの「白川 静bot」から引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

He was obliged to leave school and earn his own living.
彼は学校をやめて、自分で生活費をかぜがなければならなかった。 *

 

さとう三千魚

 
 

yesterday

afternoon

2nd grade of elementary school
by the little boy

uncle
what did you want to be when you were a kid

I was told so

I thought a little
I wanted to be a cloud

answered so

I was stared at by the boy

was that a mysterious answer
I wonder if he couldn’t understand

He was obliged to leave school and earn his own living *

 
 

昨日

午後

小学2年の
男の子に

おじさんは
子どもの頃になにになりたかったの

そう言われた

すこし考えて
雲になりたかったのよ

そう答えた

小さな子にじっと見つめられた

不思議な答えだったのかな
理解できなかったかな

彼は学校をやめて、自分で生活費をかぜがなければならなかった *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ridiculers Ⅲ

 

工藤冬里

 
 

空飛ぶベッドは觔斗雲
絨毯ならバンド名はthe carpets
数年前から松山でも作ったという人が出始めていた
昔は無意識の結晶化なんてユングしか言わなかったが
妄想の民主化は地下の入り口を開けトンネルで繋ぎ更地にし元素に還元する
瀬戸内海のゴミでスニーカーをというのは進次郎がバカなのではなく浄化と優生思想に纏わるきみたちの妄想が彼にそう言わせているのだ
神秘主義がブームの頃genesisの六日は創造ではなく自力の次元の進化と結びつけられるのが常だったがその後創造は逆手に取られ「私たちの象に」を利用することでシュミレーションゲームとして愛なくプログラムされているというマトリックスに変わった
財布を失くすことと車の事故が下層現実の何よりの関心事になっているのはそのためである
北京の黄色い空と青い太陽

 

 

 

 

#poetry #rock musician

This is not altogether false.
これはまったくウソというわけではない。 *

 

さとう三千魚

 
 

this morning too
4 o’clock

the alarm clock of my smartphone rang

so

moco
wake up

moco
it’s a dog

I’m sleeping with moco in bed

“Take me to pee,” moco barks

at the bed
moco barks

so I wake up
I hold moco down the stairs and drop moco on the floor of the living room

when I open the window
she got down to a small garden

moco pees
she does it herself

I’ll wipe moco’s crotch with a towel

This is not altogether false *

 
 

今朝も
4時に

スマホの目覚ましが鳴った
それで

モコは
起きてしまう

モコは
犬だが

ベッドに一緒に寝ている

“おしっこに連れてって”とモコは吠える

ベッドで
吠える

それでわたし目覚めて
モコを抱いて階段を降りリビングの床にモコを下ろす

窓を開けると
小さな庭に降りて

モコはおしっこをする
自分でする

わたしタオルでモコのお股を拭いてやる

これはまったくウソというわけではない *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life