リヴァーシブルなポケットの着脱

 

工藤冬里

 
 

縫い目のない編み方は輪っかからかなあ
石ころを転がして籤を引く顔たちがサバゲーとかしてそうな
近遠煙禁法の頭蓋の丘で
棒杭は立てられ
掃除婦はモップ掛けに勤しむ
全てが間違っていて毛ほどの接点もない
四次元では球を割らずに裏返すことができると言うが
裏返らなければパラダイスに一ミリの接点もない
奄美のメリスマが入り口だったが
今はゴルゴ13に見張られている
徒刑場の全員がマスクをしている
受刑者までが
マスクをしている

 

 

 

#poetry #rock musician

背中

 

松田朋春

 
 

子供の背中をみる
肩の骨が出ている
首筋がやけている
もう違う何かを見ている
ことばが遠くなる
猫の家族のように
眼をあわせなくなって
親が死に子が育ち
その先のあらすじを知っていて
いってらっしゃいという
心が逆巻いている子供の
背中をみる
なすすべもなく
いってらっしゃいといい
おかえりという
知っているものに
ひとがおきかわる
心細さが
自分にもあてはまる
それは
本当なのか